林崎新夢想流居合

弘前藩の林崎新夢想流居合を復元、復興していくうえで、参考史料のひとつとしているのが、武家屋敷だった実家の引き出しから出てきた、近世史料「居合掌鑑」だ。 これは、同流浅利伊兵衛均録から山形半十郎茂高へ、そして我が父祖達である小山次郎太夫英貞と…

11月6日、弘前市の笹森家武家住宅で、弘前大学古武術研究会 twitter.com 主催で、同大学居合道部、青森大学忍者部との合同演武会が無事終了した。 あいにく私は仕事で参加できなかったが、同研究会顧問のひとりとして、ホッと安心した。 ご協力いただきまし…

弘前公園のなかの護国神社の神楽殿には、近代の武芸奉納額がある。 いずれも招魂社時代に奉納されたものか。 ひとつは、明治24年7月10日の奉納額で、當田流剣術山崎勘一郎の門人、高山龍助が、16名の打方を相手に、天保15年5月24日から26日にかけて昼夜三日…

「弘藩明治一統誌」によると、幕末の父祖達は、稽古場以外にも、弘前八幡宮の林や墓所などに集まって、家伝剣術や林崎新夢想流居合の稽古をしていたという。 同じように最近、外崎源人氏が、弘前公園のなかの護国神社境内で、大学生有志達に、抜刀や野稽古を…

剣道部稽古から帰ってきた息子が「木刀による剣道基本技稽古法」DVDを見ている。 この形は、平成になって「竹刀は日本刀であるという観念を理解させ、日本刀に関する知識を養う」ために制定されたという。 しかし、あくまで私見だが、あの形の構造は、中近世…

疲れて帰ってきても、なるべく一本だけでも、稽古するようにしている。 ことに復元・復興中の林崎新夢想流居合の形は多くて、すべてを習得しきれていない。 やがていつかは…などと悠長にやっていれば永遠にやらないだろうから。 今日は右身「臥足」だった。…

10月22~23日の「ひろさきハイカラ庭園」(於弘前市「藤田記念庭園」)で「剣術ワークショップ」を担当した。(http://www.hirosakipark.or.jp/highcolor/index.html) コスプレイヤーに大人気のイベントで、会場全体の時代設定は明治大正らしい。 なぜ修武…

最近、林崎新夢想流居合の稽古のひとつとして、 三尺三寸の長大な刀と、我が心身をいかに連結させるか、 という工夫のなかで、ひとつ気になる現象がある。 三尺三寸刀は、術者の心身に変化を生じさせたり、誘導してくれる器であるが、 あくまで生物ではなく…

日本武道文化研究所主催の「全国古流武術フォーラム2016in山形」に出席。 林崎流系統の居合を共通テーマとする、有志の研究稽古会。今回は3回目。 日本各地から、開祖林崎甚助の聖地、山形県村山市・寒河江市へ、少数精鋭が集まった。 みなさん紳士で、ずっ…

この10月は、己のルーツを巡る旅となりそうだ。 まずは明日から、家伝卜傳流剣術、その開祖が生まれた茨城県鹿島神宮の全国大会へ出場。 その翌日は、同剣術を津軽に根づかせた弘前藩家老、棟方作右衛門の墓調査へ。 (なお棟方家は、弘前藩の忍者集団「早道…

武であるからには、必ず、我と相反して変化する相手がある。 己ひとりや、静止物相手だけで完結する稽古では、実際の闘争で大きな錯誤を生むだろう。 そのためか、林崎新夢想流居合の稽古では、必ず一人か二人の相手を付ける。 そのうえでこの居合には、居合…

津軽地方在住で、もと本覚克己流和師範であったK先生からいただいた、旧弘前藩の「林崎新夢想流居合 極位秘術 唯授一人目録 向次第」(巻子本)1巻の写真である。 このほかに4巻あったが、秋田県在住の居合道高段者の求めに応じて、寄贈されてしまったとい…

十代の頃から、青森県内の古武術、古武道の遺産を訪ねてまわった。 我が家と同じく、脈々と武を伝えてきたお仲間がいるはずだと。 しかし何処まで行っても、失われた跡ばかり続いた。 あたかも荒涼とした砂漠を歩いているような、己だけ取り残されたような寂…

今日、外崎源人氏と青森大学忍者部へ、 家伝剣術と林崎新夢想流居合の指導でお邪魔した。 弘前藩の忍者「早道之者」を率いた中川某らは、 林崎新夢想流居合や當田流、本覚克己流和など、普通の藩士達と同じ武芸を習得し、藩主前の武芸高覧でも披露していた記…

古来から、兵法や武の先達の多くは、豊かな都ではなく、様々な困難を抱えた地方から生まれてきた。 逆に、近代以降の武道・武術は、すべてのものごとと同じように、メディアと消費者が集まる中央発信型が多くなった。 しかし近年は、日本各地の「地方」でも…

林崎新夢想流居合。 三尺三寸の長大な刀で稽古した後、常寸刀に持ち替えて家伝剣術をやる。 不思議と自分が変わっているようだ。 いつもの形を遣っても、全く違う姿が出てきたり、いままで気づかなかったことが出てくる。 ところで、愚鈍な私は、いくら懸命…

来る10月8日(土)、山形県村山市武道館にて「全国古流武術フォーラム2016-林崎甚助の居合を探るII-」(日本武道文化研究所 主催) (http://hayashizakishinmusoryu.jimdo.com/event/event3/)が開催される。 今回のフォーラムでは、私も、弘前藩の林崎…

なぜこんなに林崎新夢想流の形は、所作は、あまりに不可解で難しいのか。 先日も現代武道師範にご覧いただいたら「なんであんなに接近して抜くのか」と不思議がられた。(その理由については何度も説明したからここでは割愛し、10月8日の「全国古流武術フォ…

特別展「刀剣魂」が盛況のうちに無事終了した。 皆様からいただきました多大なるご支援に深く感謝申し上げます。 各方面からお借りしてきた数十振りの貴重な刀剣類。 一期一会、これらすべてにお会いできることはもうないかもしれない。 一振りずつ伏し拝ん…

世の中はさらに暗く、風雲急を告げていく予感がする。 世のあちこちで、ますます拘束が強くなっていくだろういま、非力な私ができることといえば、己を見失ない、流されてしまわないよう、 目前の世界に直接向き合っている、この我が心身の規矩、位を、しっ…

東京での「第二回 弘前藩伝 林崎新夢想流居合研究稽古会」が無事、終了した。 前回の第一回は修武堂外崎源人氏が幹事役を、今回は、新しい組織を立ち上げた下田雄次氏が主催された。いずれも是風会高無宝良師範と文武研川村景信師範のお導きをいただたく。 …

いよいよ本日5月20日夜、東京での「林崎新夢想流居合研究稽古会」が始まる。近代以降、多くの武道、武術が西欧の合理的思考、競技化のため、整理・変容してきたなか、北奥の津軽で、誰からも注目されることなく、黙々と伝承されていた日本最古級の居合だ。手…

我々の一般的な稽古では、あらかじめ武具の、心身の扱い方に「正しい基本」や「正解」があり、固定してしまっている。古流も、近代現代武道も。「正解」にはそれなりの意義と実績があり、我々を安心させてくれるが、本来、これほど複雑かつ多様な現実世界で…

来る5月20日(金)・21日(土)。東京都内で「第二回 弘前藩伝・林崎新夢想流居合研究稽古会」を開催する。これは今年1月、都内で開催した同研究稽古会の続きだ。(詳細は「弘前藩伝・林崎新夢想流居合研究稽古会」のFacebookをご覧ください)前回は、同居…

www.kendo.or.jp 「月刊 剣窓」平成28年5月1日号(最新号) 私の父、剣道教士八段・卜傳流剣術宗家 小山秀弘による 「剣豪探訪記15 津軽の剣豪たち」が掲載された。 17世紀に活躍した、 林崎新夢想流居合 常井喜兵衛、 當田流 浅利伊兵衛と一戸三之助、 そし…

うち続く熊本・大分の大地震の甚大さに胸つぶれる。修武堂九州支部長M氏も、熊本でこの大災害と闘っておられるはずだ。皆様のご無事をお祈り申し上げます。一方、我が津軽では暴風雨。方々でサイレンが鳴っている。東日本大震災もそうだったが、なぜ我々はこ…

本日の定例稽古では、みんなで久しぶりに當田流(とうだりゅう)棒術をおさらいした。六尺三寸の長さの棒で剣を倒す。剣だけではわからない長柄の術理を学ぶには素晴らしい課題だ。弘前藩の剣豪、浅利伊兵衛の子孫、故寺山竜夫師範から清水宏二氏へ継承され…

武道史研究では「戦国末期に生まれた武芸流派は、平和な近世において実戦経験を失い、形をなぞるだけの華法剣法と化した」とよく説明する。本当だろうか。実例で疑義を呈したい。江戸時代から近代まで数百年間、津軽地方各地には「喧嘩ねぷた」「ねぷた喧嘩…

日本武道館で第39回日本古武道演武大会が開催され、父とともに家伝剣術で出場した。当流はマイナー流儀のため、毎年ではなく、2年に一度しかお声がかからない。しかも海外派遣も、いつも同じ流派がローテーションし、当流には永遠に回ってこない。よって隔…

今回の「林崎新夢想流居合研究稽古会」では、林崎の居合を共通話題として、北海道、青森、群馬、栃木、首都圏各地、広島、熊本、福岡など全国各地から、全く体系や勝敗の価値観が異なる各ご流儀が集まる場となった。 あっという間に会場が満杯となった。入り…