■
日本武道館へ。
「日本古武道協会設立35周年記念 第37回 日本古武道演武大会」http://www.nipponbudokan.or.jp/shinkoujigyou/gyouji_06.html で招待演武をする。
少年の頃から、祖父や父、妹とともに、日本各地(大阪城、岩手、熊本、鹿島神宮など…)の各大会で、家伝剣術を披露させていただいたが、
日本武道館だけは別格である。
なにせ、いくら満身の思いで叫んでも、すべて吸収されてしまい、ゴマメの歯ぎしり、全く反響がない。
しかもステージ中央に立つと、天井から降り注ぐ大量の照明の眩しさで、演武しながら己の存在がすべて空間のなかに消し飛んでいくのような錯覚を起こしてしまう。
十年前だろうか、亡くなった祖父の代わりに、父と初めて日本武道館の演武上に立ったときを思い出す。
今まで生きているなかで、あれほど狂気じみた緊張はなかった。
いま思えば、我ながら苦笑してしまう。
あの体験をしたから、いまではどこでも演武できる、というふてぶてしさが育った気がする。
常に親父は言う。「見せ物ではない。特別なことをしようとするな。いつも通りのことをやるだけだ」
そうなのだ。いくら大きな演武場だろうが、フォーカスすべきは目の前の相手だけ。
その呼吸、起こりを察知し、響くように、ピタリと寄り添うように、なすべきときに、なすべきことをするだけか。
それよりなにより、演武前に注意すべきはインフルエンザだな…