古剣稽古日誌

古剣稽古日誌

古来から、兵法や武の先達の多くは、豊かな都ではなく、様々な困難を抱えた地方から生まれてきた。

逆に、近代以降の武道・武術は、すべてのものごとと同じように、メディアと消費者が集まる中央発信型が多くなった。

しかし近年は、日本各地の「地方」でも、各メディアが報じきれていない、大きな変革の芽が生じている。

例えば、そのひとつが、10月8日、山形県村山市で、日本各地の林崎流系居合が集まる

「全国古流武術フォーラム」(http://hayashizakishinmusoryu.jimdo.com/event/event3/)だ。

地方の特性は、都市部より、ものごとの変化が緩慢で、より古きが残されていることだ。

それを活かして「なぜ居合が生まれたのか」という居合の原点、

日本武術共通の課題を探る試みにつながっていく場になるだろう。

武種や流儀や経験は不問なので、どなたでもご参加できます。お待ちしています。

 伝統を標ぼうする世界で、新しいことを始めるのは大変である。

都市部ならば、人口の多さ、価値観の多様さから、キャパシティーが広くて有志が集まりやすく、新集団を形成しやすいものだ。

だが、狭くて地縁や人間関係が濃密で拘束力が強く、価値観も限られているような地方で変革を起こそうとする者は、

それらとの激しい相克を、長い闘いを覚悟しなくてはならない。

本当に為すべきことならば為すしかない。

孤立無援も恐れまい。むしろ自主自立を誇りの旗として掲げていこう。

 と、十数年前に修武堂を立ち上げた。

少数精鋭のお仲間達とともに、地道に闘ってきたが、楽しいこともある。

修武堂抜刀およびBBQ稽古が盛会のうちに無事終了した。

 朝、前日から川に漬けておいた数十のゴザを引き上げ、庭の雑木林のなか、みんなで次々と斬っていく。

基本の刀法から、林崎新夢想流居合の技法を試すなど。

参加者は、初心者から剣術・居合・棒術修行者、剣道部員、居合道有段者、こんど総合格闘技の試合に出場する者など様々だ。

剣の世界普及のため、真剣をお持ちではない皆さんに、私と外崎さんの刀をお貸しする。

慣れない方も多いので、ときおり我々の刀が曲がってしまったが、その場で外崎氏が直す。

そして火を起こして焼肉三昧へ…。

夜は、その刀法を活かせるかどうか、同流居合の組太刀。そして手裏剣稽古も。

同流の「右身」「左身」「外之物」を稽古。

現代ではやらないような、本当に不可思議な所作が連続する。

これは何を暗示しているのか、と、動きを止めて沈思黙考する。

「外之物」のなかの「寄身」では、近接した相手との間合いの空間中に、長大な三尺三寸刀を浮かばせ、空中での位置を変化させないことで、相手の担当から己を守るシールドとすることともに、我が身体だけ変化させることで、様々な攻防を可能にしていることに気づいた。

これが、先人達が埋め込んだ教えであれば、なおうれしいのだが。

 お仲間に囲まれて本当に楽しい日であった。

限りある我だが、これからもこの世界を守って生きていくぞ。

その夜は、庭の稽古場に泊まり、数日後にお会いする、旧弘前藩の古流柔術師範のことを考えながら、神棚の下でぐっすり眠った。

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