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先日、道場へ取材にきたテレビ番組の全国放映日が、
新しいニュースに押されて、ドンドン延期されているそうだ。
まあ、急ぐ話題ではないのだから、気長に待とうかな。
なによりまずは、己自身の稽古を堪能しよう。
我々修行者はよく「正確な動作になろう」とせかされたり、「なんでうまくできない」と悩むことがある。
だが、果たして本当にそうなのだろうか。
勝手に作った「正しい」という小さな幻想のなか、もがいているだけなのではないか。
どだい「正しさ」を固定化すれば、それを提示した者の権威のもと、優劣をつけやすくなる。
すると組織化しやすくなる。ビジネスもしやすくなる。
しかし、これほど多様で広く深い世界で、簡単に「正しさ」を断言してしまえるのか。
そのことは、もしかしたら、自分を、この世界を、狭くしている、可能性を自滅させているのではないか。
おそらく武術とは、己とは異質な存在、私の想定外と向き合う法である。
だからこそ、武というものは、己自身が、いままで想像もしなかった、より未知なる世界へと拓かれ、より豊かになっていくチャンスに満ちているのではないか。