古剣稽古日誌

古剣稽古日誌

12月9日朝、太田尚充(おおた たかみつ)先生が天へ召された。91歳であられた。

先生は、大正15年生まれ、東京高師卒で柔道八段、全日本柔道連盟参与の武道専門家であられるとともに、

弘前大学などで教鞭をとられながら、弘前藩および八戸藩の各古流武術の研究をされた第一人者で、多くの著書を残された。平成13年には、体育研究功労による叙勲、勲四等旭日小授章。

晩年に示された『津軽のやわら 本覚克己流を読む』2009年、『弘前藩の武芸伝書を読む 林崎新夢想流居合 宝蔵院流十文字槍』2010年(ともに水星舎)等は、

未発表の武芸伝書を、丹念に翻刻・分析されたもので、我が修武堂稽古のバイブルである。

私は、「無刀」氏こと、故加川康之氏とともに、稽古場やご自宅にお邪魔して、何度もご教示をいただいた。

ことに本覚克己流和の実技の調査研究では、本当にお世話になった。

先生の書斎のソファに座り、三人で、

古流武術には、近現代武道が見失ったものがたくさん残されていること、

それを現代に活かそう、と誓ったのが、昨日のことのようだ。

そのうち、加川氏が急逝され、今度は太田先生が旅立たれてしまった。

何もなしえていない若輩者の私だけ、ひとり残されてしまった。

残されたバトンはあまりに大きい。

おりしも今日の津軽平野は、真っ白な地吹雪に閉ざされている。

何度目の宣誓だろうか。

分不相応の私ですが、お任せください。今度こそ。

最後まで。