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修武堂古参のお仲間、F女史に、永遠のお別れをした。
常に穏やかに相手を包み込むような笑顔だった女史は、
2016年12月9日の朝、仙台の地で天に召された。
奇しくも、武道史研究家太田尚充先生の逝去と同じころだった。
当会稽古では、合気道で練られた、しなやかで粘りのある動きを示され、
剣術の地稽古でも、思わぬ動きをされ、なかなか手ごわかったことを思い出す。
大会や合宿では、男ばかりの当会で、気が回らない部分を、いつもそっと優しくサポートしていただいた。
故加川康之氏が不治の病に倒れたとき、動揺する我々に、
看護師としての深い経験から、悲しみへの向き合い方を、実地で暖かく教えてくれた。
まるで、穏やかな高僧に導かれているような、深い安心感があった。
すると、二年前の雛祭りの頃、誠に晴れやかな笑顔で訪ねてこられた。
異動のご挨拶だった。
これから仙台で新しい人生を始めること、遠くから修武堂の活躍を祈っていること、
引っ込み思案な私に
「あなたは充分にちからを蓄えた。その良さを多くの人々にも紹介していくべきです。」
などと、たくさんの励ましを頂戴した。
そのとき、なぜか私は、涙を禁じえなかった。
それが最後の会話となってしまった。
エンディング・ノートに記されていたなかのひとりとして、私はご連絡をいただいた。
当会代表として遺影へ香典を捧げながらも、思いもよらぬ、あまりに急な知らせに、胸つぶれる思いだ。
近年、道友を失う寂しさが続く。ご冥福を祈るとともに、果たせなかった約束を悔やむ。
いま私は、そのときF女史が、託されていった愛用の武具類で稽古している。
この先も、ともにゆこうぞ。