「やわらは天地の和順にござりまして、万物養わるるものなり。

強きを恐れず弱きを侮らず、よきにも囚われず、悪しきにもさのみ謗ることなく、

高き賤しきそれぞれに随い応ずるの道なり」

 

津軽固有の柔術、本覚克己流和(ほんがくこっきりゅうやわら)の教えである。

 

若い参加者が多かった本日の「修武堂」定例稽古。大変有意義だった。

 

当会H氏の指導で、同流の基本「腕流」の「裏」と「表」の稽古から始まった。

 

やがて渋川流柔術十手の研究稽古。これは北辰堂の大先達で、故笹森順造師範と共に小野派一刀流も修められた故小舘俊雄師範が伝えたものだ。

H氏自作の十手による研究稽古は初めてだったが、剣や槍相手に短い十手で入っていくのは、肘打ちなど柔術的技法も多く、家伝の卜傳流剣術小太刀とも似ており、私としてはあまり違和感がなく、なじみ深いと感じたのが意外だった。

 

関西の大学から、忍術研究第一人者の先生がおいでになられたので、津軽の忍者「早道之者」が修行して本覚克己流と関連のある林崎新夢想流居合、當田流棒術、卜傳流剣術もご覧いただいた。

その後、剣道、袋竹刀による剣術の自由試合稽古…とやり、なぜか東南アジアの武術カリの工夫まで始まった。

 

久しぶりの袋竹刀「源悟刀」による剣術の自由攻防稽古では、私が元立ちになって、柔道有段者の学生や剣道有段者の打ち込みを受けた。いい汗をかいてサッパリした!

学生時代以来、稽古といえば、大汗をかくことだという刷り込みがあり、我ながら困ったものだ。

 

それでも、自由打ち合い稽古は多くの変化に富み、いろんな学びがある。

 

なにより、顔に面を付けるか付けないかで、自ずと間合いが変わるものだ。

剣道経験者の私は、少し間合いが深くなるようで、以前、素面で稽古される新陰流師範に稽古いただいたときは、嫌がられたことがある。

しかし防具で保護されている安心感のまま、素面で同じことやれば、ときおり顔面や鼻先、そして手指や拳を強打され、痛い目にあうから、実際の闘争は推して知るべし。

 

家では、林崎新夢想流居合の所作をさらに濃密にしていく稽古を始めている。

この居合稽古では、目前の打太刀が、スキあらば九寸五分の短刀で狙ってくるのだから、我は全く髪一筋も油断できない。

いつでも即応できるよう、心身を濃密にしていることが迫られる。

その原点を忘れ、漫然と稽古していた己を猛省している。

 

落ちきってしまわず、浮いてしまわず、という座法から、鞘引きと左腕の変化で一気に浮身を発生させて抜刀していくような感覚。

 

そして「向身」のなかの「幕越」が気になって工夫している。

 

これは、現代人から見れば謎の所作が多く「見えない幕の向こうのものを突き刺して、手元に引き寄せるように」という口伝もあったようだ。また以前、ある師範から、カリの技法で、相手に打撃を入れた直後に、反撃を摺り上げて防ぐ遣い方にも似ている、というご指摘をいただき、思わず膝を打ったこともある。

 

その一方で、寺山伝と笹森伝でも少々ニュアンスが異なっており、まだまだ己の身体では納得できておらず探求は続く。

 

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〇11月11日(土)の「武士道場」は「林崎新夢想流居合 伝書勉強会 其之弐」です!

  危機の時代、津軽のサムライたちは、なにを考え、どのように生きたのか。

彼らの「心」を伝書から読み解き、彼らの「技」を形で体験し、

みなさんとともに楽しく読み解いていきます。

 1日 時:2017年11月11日(土)10:00~12:00(※予定よ時刻より早めに終わることもございます)

2会 場:弘前市伝統的建築物群保存地区「旧笹森家住宅」

青森県弘前市若党町、http://bukehouse-hirosaki.jp/)

3主催 武術研究稽古会 修武堂

(協力 弘前市無形文化財卜傳流剣術保存会、當田流棒術、弘前大学古武術研究会、

北東北無形文化遺産実践研究協会ほか)

4内 容

(1)前半は、みなさんで昔の弘前藩士の武芸伝書を味読します。

(※当日のテキストとして、太田尚充2010年『弘前藩の武芸伝書を読む』水星舎を推奨しますが、お持ちでない方も受講できます。)

(2)後半は、弘前藩の林崎新夢想流居合の基本を体験してみましょう。

5講師:修武堂主宰小山隆秀ほか

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6対 象:修武堂会員および一般の方(経験不問)

(※事前申し込み不要ですが、会場が狭く、安全を確保するために、参加者が多い場合は、

入場をお断りする場合もあります。)

7参加費:無料

8そのほか

※動きやすい服装で参加ねがいます。

※防寒対策は充分にねがいます。飲み物等は持参ねがいます

※安全には充分に留意いたしますが、万が一のケガ等につきましては自己責任でおねがいします。

※会員向け定例稽古ですが一般の方も無料で見学・参加できる、オープンスペーススタイルの講座です。

※雨天時は室内での活動となります。

※会場に駐車場はございませんので、近隣の有料駐車場等をご利用ください。

 9問い合わせ先:武術研究稽古会 修武堂

ホームページhttp://www.geocities.jp/bokuden_1969/

ツイッター@shubudo21

Eメール shubudo21@yahoo.co.jp  

〇定例稽古のお誘い
弘前藩で伝承されてきた卜傳流(ぼくでんりゅう)剣術、當田流(とうだりゅう)棒術、林崎新夢想流居合、本覚克己流和(ほんがくこっきりゅうやわら)などの古流武術を中心に、心身を生き生きと豊かにしていく稽古を楽しみましょう。
参加費等は無料です。ご関心のある方はどなたでも参加できます。初心者も歓迎いたします。
(小学校高学年以上、見学も可)。

2017年11月

・4日(土)13時~15時 北辰堂(青森県弘前市長坂町37)

・11日(土)13時~15時 青森県弘前中央高校 4F武道場青森県弘前市

※参加料等は無料です。関心のある方はどなたでも参加できます。(事前予約不要)

※いずれも無料駐車場あり

※お借りしている会場なので、会場へのお問合せはご遠慮ください。

その他
 ・動きやすい服装でお願いします。(室内、板の間の道場です。内履き等は不要です)
 ・木刀や帯類などの稽古道具がある方は持参ねがいます。
 ・シゴキ等はありません。各自の興味関心、体力に応じた稽古です。
 ・安全に充分留意した和やかな稽古ですが、もしもの際のケガ等は自己責任でお願いします。
                                 修武堂小山隆秀